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夏山冬里生活

 北海道の農村の郊外では、高齢者の1人暮らしや夫婦2人暮らしの増加に伴い、積雪寒冷期における住居・庭先の除雪や通院・買い物などの移動に負担が増しているほか、住居の老朽化により雪害や凍害への不安が増大しています。そのため、これらのことが要因となって農村からの人口流出等が生じ、ひいては地域の活力が低下していくことが懸念されています。
 農村の郊外に居住する高齢者が冬期間だけ農村の中心部に集まって住むことにより、除排雪からの解放、通院・買い物などの利便性、雪害・凍害などに対する安全性、趣味やボランティアのサ-クルへの参加の機会を得るなどのメリットが生まれ、本人のみならず、家族や親戚、地域の人達への安心、さらには農村の維持にもつながっていくと考えられます。
 一方、都市住民の農村回帰のニ-ズは年々高まりをみせ、特に団塊世代を中心に農村地域にロングステイして農作業体験や地域の人達との交流をしたいという需要が見込まれるなど、都市と農村との新たな関係づくりが注目されています。
 このようなことから、農村の郊外に分散居住している高齢者のニ-ズと北海道内外の都市住民のニ-ズを同時に満足させる新たなライフスタイルとして、農村高齢者の「冬期集住」と都市住民の「夏期滞在」を、同じ施設で季節ごとに住み分けを行う「冬期集住夏期滞在生活=夏山冬里生活」が2年前に北海道開発局から提案されました。
 この提案を行うために、農村高齢者や都市住民へのアンケート調査・解析、夏山冬里生活体験モニター調査・解析、留守宅・空き家の実態調査・解析、夏山冬里施設の調査・設計など、産官学と一般市民が協働して伊達市、滝川市、下川町、旭川市などの自治体で2年間にわたり様々な調査・検討が行われました。
 調査地域の一つ伊達市では、調査の一環として行われた「除雪費の削減効果」に着目し、農村高齢者が冬期間だけ街の中心部に住み替えて、留守宅になった地域の道路除排雪を行わない場合の除雪費削構想の検討に着手しました。(2010/3/29の北海道新聞朝刊1面)
この構想は、伊達市大滝区上野地区の高齢者を対象に、除雪費削減で浮いた費用を高齢者が冬期間だけ街の中心部で暮らすための集合住宅の建設費に充てるというもので、国土交通省も後押しし、現在、住民ニーズの把握など実現性を調査しています。
 また、伊達市では首都圏などからの移住者やロングステイの人達を積極的に受け入れ、季節移住の人達が一時居住できる施策を官民一体で進めており、夏期に空く集合住宅はこのような首都圏からの季節居住(二地域居住)の人達に提供することができます。
 夏山冬里生活が提案された2年前にはまだ現実性が薄いということで、正直なところ他の自治体にはあまり注目されませんでしたが、このような伊達市の取り組みに端を発し、他の自治体でも夏山冬里生活による様々な地域活性化方策が検討されることを、調査・解析・取りまとめに携わった一人として切に望みます。

北海道における新たなライフスタイルの提案
夏山冬里生活の実践に向けて(北海道開発局)1.68MB

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