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エゾシカの話

 北海道では、毎年エゾシカによる農林被害が報告され、ここしばらくは30億円前後の被害額で推移していましたが、2008年度は10年ぶりに40億円を超えました。エゾシカは畑や牧草地、山林などを荒らす害獣として、北海道のほとんどの地域で10月末から3月末まで狩猟による駆除が行われています。また、ハンター1人が1日当たりに捕獲できるエゾシカの頭数は、オスが1頭、メスは制限なし(子供を産むメス鹿を減らすため)と定められています。
 エゾシカは年に15~20%という高い増加率で繁殖し、狩猟などで捕獲しなければ4~5年で2倍に増えてしまうと言われています。現在の生息数は約52万頭と推定され、このまま何もしなければ2015年には100万頭を超えることになります。それに伴い農林被害も増加の一途を辿ることが予想されるため、今後も一定量のエゾシカを捕獲し生息数を管理していく必要があります。
 もう10年以上も前になりますが、捕獲したエゾシカを食肉や加工品などに有効活用させようという趣旨で、私達が所属する㈳日本技術士会北海道支部地域産業研究会の中に「エゾシカ分科会」が立ち上げられ、これまでに様々な検討をおこなってきました。
 食材としての鹿肉は高タンパク・低脂肪・低カロリーであり、牛肉や豚肉に比べるとヘルシーな肉として扱われています。実際、ヨーロッパでは古くから王侯貴族が食する肉として珍重されてきました。世界最大の鹿肉生産国であるニュージーランドでは肉のほとんどがヨーロッパに輸出され、また、漢方薬や健康食品の原材料として利用されている袋角は韓国や中国に輸出されているなど、ニュージーランドでは鹿(アカシカ)の飼育(養鹿業)が一大産業となっています。
 しかし、日本では鹿肉を食べる習慣がほとんどなく、見た目の愛らしさもあって食肉として扱うことへの抵抗感が根強いようです。また、と畜場法による家畜(牛・豚・馬・綿羊・山羊)に鹿は認定されていないため、と畜場で解体され検査を受けてから市場や小売店に鹿肉が出回ることはありません。ホテルやレストランなどが独自のルートで入手してエゾシカ料理を提供しているケースが多く、いつ、何処で、誰が捕獲し解体したのかというトレーサビリティも定かではありません。要するに、安全性や衛生面の確認が十分に行われないまま出回っているケースも有り得るということです。
 近年、ハンターが捕獲したエゾシカを衛生管理の行き届いた安全・安心な施設で解体処理を行い、トレーサビリティを明確にした上でホテルやレストラン、個人に提供している企業や、食肉だけでなくハムやサラミなどの加工品やカバンや財布などの革製品に鹿皮を利用している企業など、まだ数は少ないですが、エゾシカの有効活用に取り組む企業が出始めています。
 私達はそのような先進的な企業と協働してエゾシカの有効活用を図り、微力ながら、地域活性化の一助になりたいと考えております。ぜひ一度、私達が扱っている安全・安心で美味しいエゾシカの肉・加工品を食べてみて下さい。
 

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